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明壽庵

明治・大正創業の老舗三社の伝統技術を集めた「あん食パン」のお店のためのブランディング

東京・東十条の商店街に、2021524日、明壽庵がオープンしました。明壽庵の名前は、東十条にほど近い王子の地で明治・大正から続く老舗──パンの明治堂()・久壽餅の石鍋商店()・餡の王子製餡所() に由来します。老舗三社の伝統技術を合わせた、ここにしかない特別な味わいの「あん食パン」のお店です。Takramは、明壽庵がオープンに至るまでのリサーチやコンセプト構築から、ロゴやパッケージのデザイン、コピーライティング、店舗空間設計等を含む包括的なブランディングを担当しました。

看板商品のあん食パン「明壽庵」

明壽庵の商品は、「和菓子のような歴史と繊細さ」をコンセプトに、老舗ならではの技とこだわりを発揮して作られています。パンは、水を使わず北海道産牛乳とバターのみで仕込み、発酵種に、石鍋商店の久壽餅の小麦デンプンを使用。久壽餅特有のもちもちとした食感がパンに生まれます。あん食パンには、王子製餡所の餡を贅沢に巻き込んでおり、濃厚でもちもちした食パンと、餡が生み出すふくよかな甘みの調和は絶品です。

餡の入ったフルーツサンド「フルーツあんサンド」

明壽庵のフルーツサンドは、全て餡が潜む、「フルーツ”あん”サンド」になっています。あずき食パンのサンドと、あんホイップのサンドの2種類がベースになっています。

「長年お世話になった地元に恩返ししたい」という五代目店主の想いからスタート

このプロジェクトの発起人である中山公人氏は、東京・王子の地で130年以上続くベーカリー明治堂の5代目として働く中、老舗企業は地元のお客様に長年愛されることで、今日まで灯を絶やさずに営業を続けることができたと実感を得ます。

そんな地元への恩返しの気持ちと、これから新たに生まれる出会いへの願いを込めて、伝統技術を受け継ぎつつ、新たな味わいを創るため、王子に根ざした老舗三社のコラボレーションによる新店舗設立プロジェクトをスタートさせました。

ブランドのDNAを探る旅

そんな思いが込められた新店舗のブランドコンセプトを定めるにあたり、競合ブランドのリサーチに加え、東京・王子のフィールドリサーチと、三つの老舗の店主へのインタビューを行いました。店主の少年時代と王子の街の様子、青春時代の夢と家業との選択、店を継ぎ始めた頃の先代との関わり、そして今日まで積み重ねられた技術と作ることへの想い等、多くを聴くことができ、これらのストーリー / 伝統こそが明壽庵の唯一無二の価値であると再認識し、これを広く体感可能にするブランド作りを目指しました。あん食パンの材料となるパン、久壽餅の酵母、餡子をつくる、それぞれの老舗店主の仕事ぶりと「手」を写真に収め、明壽庵の店舗壁面に掲示しています。

ブランディング

明壽庵のロゴマークは、新店舗設立に向けて準備を進める中で見つかった、明治堂にて昔使用されていたパン袋の小麦のレリーフをアレンジし、餡の小豆の葉を組み合わせて構成しました。

三匹の狐のモチーフ

また、フィールドリサーチの中で、王子には、歌川広重の浮世絵が元になった伝統行事「狐の行列」があることが分かりました。狐の行列が参拝後、全国各地に帰っていったように、ここ王子・東十条から全国へ、過去から未来へと歩みを進められるよう、狐をモチーフに定めました。また「三」老舗によるあん食パンを、祖父母・親・子の「三」世代に渡って楽しんで欲しい、との想いから、「三」匹の狐を描くこととしました。

ロゴマークや三匹の狐のモチーフは、各種の店頭ツールに展開しました

店舗空間デザイン

餡子に因んだブランドカラーの小豆色の暖簾が、夕日の差し込む商店街の暖かさに溶け込み、伝統的で特別感がありつつも、この街に馴染むような親しみやすいブランドイメージを構成しています。

また、「王子の行列」で狐が装束を整えるために集まったとされる宿木の榎にちなみ、カウンターやベンチには榎の木を使用しました。

店内には三老舗の写真や言葉、王子の街の昔と今の写真などを展示し、来店されたお客様がこの王子の街と三老舗のストーリーの一部となっていき、さらにそれが深まっていくような空間づくりを目指しています。尚、店舗空間デザインは、株式会社CUPのサトウヒロキさんと協働し取り組みました。

明壽庵

住所:東京都北区神谷1-25-6
営業時間:10:00 - 19:00 (水・木定休日)
電話:03-6908-4501
https://www.instagram.com/meijuan_tokyo/

Team

Project Lead & Creative Direction:
Kotaro Watanabe
Art Direction & Design:
Taro Yumiba
Design Research & Communication Design:
Megumi Kanno
Photography:

Shinya Sato (Shinya Sato Photography Office)

Architectural Design:

Hiroki Sato (CUP inc.)

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