London Design Festivalにて開催した実験的自主プロジェクトの展示会
Takramは、2016年のLondon Design Festivalにて自主企画の展示会「Scenes Unseen」を開催しました。展示コンセプトをテストラボ、空間を実験施設に見立て、メンバーが考案した大小様々な実験的プロジェクトを並べ、プロダクトデザイン、ワーキングモックアップ、ビッグデータビジュアライゼーション、VR、映像作品といった多様な形式で展示しました。
データの流れの中に飛び込む、情報のかたまりを手で掴む、データ同士のつながりやパターンを五感で感じ取る。もしもデータを身の回りの物体と同じように扱えるとしたら、情報との接し方はこれまでと全く違ったものになるでしょう。
この作品では、Takramが開発した地理情報を持ったビッグデータをビジュアライズするための汎用プラットフォーム「Theodolite」をベースに、VRの没入感と触覚フィードバックを取り入れたジェスチャー操作によって自然かつ直感的なデータ分析を体験できます。
Data Realによって、複雑かつ膨大な量のデータから関連性やパターンを見つけ出すツールの可能性を感じられることでしょう。
Takramは、紙のカードをテーブルの上におくと文字や映像が浮かび上がる、アナログとデジタルを融合したユーザーインターフェイスを開発しました。「on the fly」(=「その場で」「動的に」「即興で」)という名の通り、カード上の穴のパターンを利用した独自の画像認識アルゴリズムによって、紙のカードをテーブルのどこに置いても、すばやく動かしても、常に紙の位置に合わせた映像を正確に映し出すことができます。
紙を置く、触れる、動かす、穴をふさぐ、といったアナログ的なインタラクションとデジタルコンテンツを組み合わせることで、驚きのあるユーザー体験を提供します。
3Dプリンタの普及やオープンソース文化に後押しされ、高性能かつ安価な義手が身近な存在となってきました。一方で、子供の頃から自らの意思で操作できる義手の普及、訓練、選択肢といった点では解決すべき多くの課題が残されています。
Playful Handsは、子供の成長に合わせて楽しく使う義手を作るための3つの試みを具現化した作品です。近くの物体を自動で掴む、物体の色に反応して追いかける、ボールを握ると球回しをするといった動きは、発想と試作を繰り返して思考するプロセスの一端を示しています。
ロボティクス・テクロノジーの進化によって、人と機械はより自然にコミュニケーションがとれるようになる。そのポテンシャルの一端として、触覚(ハプティック)のシンクロによる新しいインターフェースを提案します。
このインスタレーションでは、指先の微細な動きや指で押す力を検知・再現する装置を使って、体験者がオブジェクトを触れたり押したりした動きをもう一方の手に再現する様子を体験できます。
体験者自身の手ではっきりと感じ取れる触感の送受信からは、人と人のスキンシップと同じように、人と機械がコミュニケーションをとる世界の可能性を感じ取れるでしょう。
2020年東京オリンピックへ向けて、「おもてなし」のスローガンのもと、サービス業を中心に英語コミュニケーションを奨励する日本。Omotenashi Mask は、現在広く使われているテクノロジーを使うことで、異文化間のコミュニケーションがどのようにサポートされ、また変質させられるのかを探るプロジェクトです。
スマホアプリなどに組み込まれているテキスト読み上げ機能を異言語間で使うことにより実現される「訛りトランスファー」、顔交換アルゴリズムを使って対話相手に対してストレスの少ない顔を作り出す「おもてなしマスク」。
展示では、「タクシー運転手と外国人観光客」という2020年に典型的な会話を舞台に、これらのテクノロジーがコミュニケーションに及ぼす影響やその可能性を表現しました。
Takramは、TAMRONの一眼レフカメラ用交換レンズシリーズのプロダクトデザイン、ロゴマーク、パッケージなどを含むクリエイティブディレクションを手がけています。
Focus I/Oは、実際にレンズの製造工程で使用されている解像度チャート”ISO12233”を基にデザインした評価チャートを用いてレンズ性能を評価し、その結果を音としてフィードバックする実験的な作品です。
この作品では、レンズを通して撮像された画像をリアルタイムで解析し、その結果に基づいてシステムが音響を生成します。視覚と聴感が同調した没入感のある体験は、視覚や聴覚など人間の異なる感覚器官の関連性を想起させる装置として機能します。
植物に対して私達が普段持っている認識が、彼らの知られざる知性を理解する妨げになってはいないだろうか? -- この問いから始まったPlantolympicsは、まだ見ぬ知性のあり方を模索するプロジェクトです。
とある研究によれば、植物は極限環境においても、様々な情報を収集しながら適応・生存・競争することができるといいます。成長し繁殖するために植物が持つこの「知性」への挑戦と表敬の舞台として、彼らのためのオリンピック競技が作り出されました。
テクノロジーによる知性が実現されつつある現在において、植物的な知性はどんな洞察をもたらしてくれるのでしょうか?
元々、「Color」の語源には「(真実を)覆い隠す」といった意味が含まれていると言われています。With Or Without Colorは、世界を覆い隠している「色」を奪い去る作品です。
テーブルの上にあるボタンを押して、色を取り去った世界を体験してみてください。再び色のある世界に戻った時、身の回りに溢れる色の鮮やかさに改めて驚き、日常の風景がそれまでとちょっと違って見てくるかもしれません。
音の無い空間、磨り減ったカーペット、行き先の無い階段。
製品を開発する過程で使われるテスト環境では、製品のライフサイクルを検証するための物理的条件を表現します。実用的で機械的、実際にはありえない環境は独特のリアリティを生み出します。
この作品は、そういったテスト環境の風景を切り取った画像集です。この展示会の展示作品をテストする場面に着想を得ながら、実験施設が生む抽象的で不気味な舞台芸術を探索しています。
Cedric Caremel (ex-Takram)
, Satoru OsawaNoam Kollmann (ex-Takram)
Leslie Nooteboom (ex-Takram)
Michel Erler (ex-Takram)
Yuki Shinohara (ex-Takram)
, Shota MatsudaRenee Verhoeven (ex-Takram)
, Yosuke Ushigome,Larissa Kunstel (ex-Takram)
, Keisuke Oyama, Terushige EnatsuLeslie Nooteboom (ex-Takram)
,Kotaro Abe (ex-Takram)
Lukas Franciszkiewicz (ex-Takram)
,Owen Wells (ex-Takram)
Sam Campbell