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Shenu: Hydrolemic System

私たちの臓器を未来の水筒に見立てたコンセプトプロダクト群

Takramにより考案された「Shenu: Hydrolemic System」は、人体が必要とする水分を極限まで抑えるためにつくられた人工臓器を含む一連のプロダクト群です。2012年6月より、3ヶ月に渡って開催された国際現代芸術展「dOCUMENTA(13)」にて発表された本作品は、「荒廃した未来の世界における水筒」がテーマとなっています。複数のクリエイターによる「衣食住」の提案を通じて、退廃的な環境における、人間の根源的な価値観や究極的な美意識を模索することを目的としています。

Photograph: Naohiro Tsukada

テーマ: 100年後の荒廃した地球のための水筒のデザイン

我々は、ダークな未来のコンテクストを与えられました。そこでは、人類は壊滅的な出来事の連続を経験しつつ、絶滅の危機に追い込まれようとしています。人間によりもたらされた海抜上昇、放射能汚染、有害物質の放出などが起こり、芸術や文化は、この世から消滅する想定です。従来の偏見や先入観といったものが一切なくなると思われます。このような極限的な環境の下、改めて、芸術やデザイン、文化、そして生活の質そのものを問い直す機会を、このアートのプラットフォームとして与えられました。この序説に伴い、我々は人間の生存に欠かせない「水」、すなわち「水筒」のデザインを担当しました。

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

アプローチ: 課題の再設定

リサーチと分析を繰り返した結果、予想外の答えに辿り着きました。水質汚染等により供給可能な水が極端に限られた世界では、現状の延長上にある水筒を考案することが非現実的に思われました。そこで、このような差し迫った環境において、人間が一日に排泄、排出する水分を極限まで少なくできれば、そもそも人体が必要とする水分を少なくできるのではないか、という結論に達しました。これが最終的に、人工臓器を含む新しい一連のプロダクト群に結実したのです。水筒を作るのではなく、人間の体を水筒と捉え、生存に必要な人工臓器を提案しました。このように、課題自体を見直すことにより、水筒という課題に対する新しい解釈が生まれたのです。

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

Photograph: Naohiro Tsukada

結果: 人工臓器

サイエンスとテクノロジーの根拠をもとに考案された人工臓器の一群は、水の逸失を抑えるために連携して機能する仕組みになっています。この人工臓器を持つ者は、持たない者に比べ、水の摂取が制限ができるようになっています。

臓器の詳細

Rubedo Candies:生命維持に最低限必要な栄養分やホルモン、32mlの水分を含んだ飴玉。1日に5粒摂取する。

Nasal Cavity Inserts:鼻からの呼気に含まれる水分を結露させ体内に留める鼻腔内器具。

Arterial-Jugular Heat Exchangers:血液の温度を一定に保ち、発汗を抑制するための人工血管。Heat neck collar と共に機能する。

Heat Irradiant Neck Collar:Heat Exchangersによって生み出された電気エネルギーを、熱に変換する首輪型のラジエータ。

Urine Concentrator:膀胱内の尿を極限まで凝縮し得られた水分を腎臓に返す膀胱内器具。

Renal Fecular Dehydrator:大便に含まれる水分を効率的に大腸に吸収させる直腸内器具。

Photograph: Naohiro Tsukada

Team

Project Lead:
Kinya Tagawa
Concept Development:
Kotaro Watanabe
Design:

Kaz Yoneda (ex-Takram)

Art Direction:

Moon Kyungwon

,

Jeon Joonho

Project Lead & Concept Development (until 2011):

Motohide Hatanaka (ex-Takram)

Photograph:

Naohiro Tsukada

Figure Artwork:

Bryan Christie (with the addition of organ rendering by Takram)

Special Thanks:

Form Corporation

,

Nichinan Group

,

Masaru Nagamine of Nagamine Manufacturing Co., Ltd.

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