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Collaborative interactive light installation project with Toyo Ito, 2008

280個ものガラス製の風鈴が天井から吊るされた空間。正三角形のグリッド状に並び、波打つような起伏を描いています。個々の風鈴は人の動きを検知し、それをきっかけに音を鳴らすとともに、蛍のような淡い光を発します。天井に近い風鈴は高音、低い風鈴は低音というように、吊るされている高さに対応して10段階の音程が割り当てられています。風鈴は相互に接続されており、音と光は波紋を広げるように周囲へ伝搬していきます。この作品は、建築家・伊東豊雄氏とのコラボレーションとして実現されました。

「オカムラスペースデザインR」は、家具メーカーのオカムラにより毎年開催される展示企画であり、建築家と建築家以外の表現者の恊働をコンセプトに据えています。2007年に、Takramは建築家として世界的に有名な伊東豊雄氏の招待を受け、恊働者としてこのプロジェクトに参加しました。

アプローチ: 群知能の具象化

Takramのメンバーにとって、伊東さんとの最初の打ち合わせが特に印象的でした。伊東さんは建築に対するご自身の考え方を「杭」と「川の流れ」にたとえてこのように表現されました。「多くの建築家は川の中に杭を立てて、その杭が自分の建築表現だと言う。でも僕が考えていきたいのは、杭を立てた時にすぐ後ろにできる渦のほうだ。」作る対象そのものでなく、周囲の人と場にもたらす有機的な影響。その思想に共感し、全員が話し合いの中に引き込まれていきました。

我々が着目したのは、自然界における動植物の振る舞いです。調べると、多くの群れは、そこに統率者がいなくても全体として秩序のある振る舞いを見せることがわかります。例えば東南アジアの熱帯雨林に生息する、あるホタルの群れ。夕暮れ時、あたりが薄暗くなり始めると、多くの蛍が一つの気に集まり、最初はばらばらのタイミングで光り始めます。ところが時間が経つにつれ、多くが同じタイミングでシンクロしながら光るようになり、次第に木全体が一つの大きな蛍であるかのように同期し始めるのです。実は、それぞれのホタルは隣にいるホタルが光るタイミングだけを見ながら、少しずつリズムを合わせているだけです。最初は3、4匹が同じタイミングでシンクロし始めるだけでが、徐々にグループがグループを呑み込んでいき、最終的に大きな集団となり輝きます。こういった現象と同じように「統率者のいない群」を表現しよう、と考えたのが今回のアイデアのきっかけでした。

アプローチ: ローカルルールとグローバルエフェクト

このシステムの特徴は、個が独立しているのと同時にネットワークを持っていること、そしてリーダーを担う個体がいないことです。個体同士の信号のやりとり全体を俯瞰するように見ると、あたかも波紋が広がるかのような像として浮かび上がってきます.しかし実際は、それぞれの個体はただ単に隣の個体が光れば自分も光るという単純なルールに従っているだけなのです。これを、我々はローカル・ルールと、グローバル・エフェクトと呼んでいます。

CREDIT

Creative Direction: Toyo Ito & Architects, Takram
Exhibition: OKAMURA Design Space R 2009

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